東京総研及び元森公認会計士・税理士事務所の掲載記事情報

掲載記事トップへ
「週刊ダイヤモンド」
2003年8月23日 (107ページ)掲載

経営よろず相談所
テーマ:不良債権償却の裏技


回答者  元森俊雄
東京総研 代表(公認会計士・税理士)


Q. 回収のメドが立たない売掛金があります。今期は利益が出ているので償却したいのですが、 税務上の要件を満たさないので償却できないと経理が言っています。何か良い処理方法はないでしょうか?

A.

 「繰延税金を何年分認めるべきか」が話題になっています。これは貸倒引当金を繰入れて会計上は費用計上したものの、 税務上は損金にならないことから生じる問題です。
 不良債権について税務上の損金とするためには、相手企業が会社更生法や民事再生法などの法的手続きの段階に入ったとか、 債務超過の状態が相当期間継続しているといった、客観的な証拠が必要です。
 相手企業がそのような状態に至っていないが、回収の見込みは低い。でも、今期利益が出ているので損金計上したいという場合、 不良債権を売却して損失額を確定するという裏技があります。

 日本では、4年前にサービサー法が施行され、銀行系列・信販系列などの債権管理回収会社が続々と設立されていますので、 取引金融機関を通じて打診してみるのも手です。

 但し、かなり買いたたかれれますので、節税効果を考えて売却の是非を判断する必要があります。

 なお、関係会社や親密取引先などに売却する方法もありますが、税務署から租税回避行為と疑われる可能性もありますので注意が必要です。

不良債権償却の裏技

2003年8月23日号表紙